めぐみ野レポート

【産直物語】産直蔵王育ち生協のたまご(2008年2月)

更新日:2010.03.18

産直蔵王育ち生協のたまご生産者の稲富朋博さん
産直蔵王育ち生協のたまご生産者の稲富朋博さん

 宮城県の南西部・雄大な蔵王連峰の豊かな自然に抱かれた蔵王町の宮地区。のどかな田園風景が広がるこの宮地区が「産直蔵王育ち生協のたまご」の故郷です。この地域は、蔵王連峰がついたての役割をするため、強い季節風を遮り、雨や雪が少なく比較的な温暖な地域で、昔から養鶏が盛んに行なわれていました。現在、みやぎ生協の「産直蔵王育ち生協のたまご」を育てる生産者は6戸。約18万羽の鶏を飼育し、毎日新鮮な卵をメンバーさんに届けてくれています。その中のお一人、稲富朋博さんはお父さんの代からみやぎ生協とのおつきあいのある生産者。30年以上にわたり、安全・安心、そして品質にこだわった卵を食卓に届けたいという思いで「産直蔵王育ち生協のたまご」を生産しています。

「このあたりは県南では養鶏が盛んな地域です。うちも親父の代からずっと養鶏をやっています。生協さんとは、県民生協、学校生協からの付き合いときいています」

 生協の卵の始まりは1970年。角田農協と宮城県学校生協と、みやぎ生協の前身である宮城県民生協の間で白たまごの産地直送がスタートしました。当時、メンバーさんからは卵の品質や安全性に関する苦情や質問が多く寄せられ、より安全で良質な卵の要望が強くなっていき、1980年に鶏卵委員会が発足。生産者、メンバー、生協が一緒になってよりおいしい、そして安全な卵を作るために本格的な話し合いが行なわれました。

 鶏卵委員会では、福島県の養鶏場などの視察を重ねるうちに平飼い鶏の飼育が検討され、1981年に「平飼いたまご」の取り扱いが始まり、1983年には平飼いよりも価格が安いケージ飼いによる「産直さくら卵」の取り扱いも始まりました。当時、卵は大手企業がブランド卵の生産をはじめ、高い値段のものがたくさん出始めていた頃。その中で、より安全で、おいしい卵を作るために生産者の飼育方法、飼料へのこだわりが出始まり、その中から生まれたのがゴトー360という鶏種の「さくら卵」だったのです。
 
試行錯誤の「産直たまご」づくり

「自分達では、もう当たり前になっているから、エサのこと飼育方法のこともあまり苦になったことはないけど、ここまでくるのにはとても大変だったと思いますよ」


 養鶏農家の2代目になる稲富さんは、近くで父・敏明さんたちの飼育方法やエサに対しての試行錯誤をする姿を真近で見てきたと言います。なかでも特にこだわったのはエサだと話します。

「他では何を食べさせているのかわからないけど、うちの卵はしっかりカルテを作っているから、なにをどれだけ食べているのかすぐわかります。遺伝子組換えのないトウモロコシを中心にした飼料を与えています」

と稲富さん。

 トウモロコシ50%に大豆粕や米ぬかなどを混ぜたオリジナルの飼料を作り、一日一回与えています。また、その飼育環境についても、鶏インフルエンザの問題が騒がれてからは3ヶ月に一度検査をおこなっているそうです。また、鶏インフルエンザと同じように養鶏農家が一番頭を悩ませているサルモネラの検査も定期的に行ない、その予防対策をこうじています。

「大きな企業では、定期的に検査を行なっているのをPRしているとこもあるようだけど、これは当たり前のことだから、PRすることでもないと思っています」

と稲富さん。

 鶏舎には、鶏インフルエンザやサルモネラの菌を持ち込むような渡り鳥や小動物が入り込まないような工夫もされ、出入りのトラックや鶏舎の周りも定期的に消毒しているそうです。風通しの開放型鶏舎で1羽あたりのスペースもゆったりとしたケージの中で飼育されている鶏たち。毎日健康な卵を産みつづけています。

「でも、やっぱりいろいろとメンバーさんからは苦情や意見がでてきてましたね」

 その苦情や意見に対してどんな風に問題を解決できるか、より安全な卵を作るためにどんなことをしたら良いのか、真剣に考え、85年には、鶏卵委員会とは別に生産者、農協、加工連、生協の実務者が参加してさくら卵のプロジェクトチームが作られ、「さくら卵のトラブル」への対策が検討されました。 
新しい鶏種「ソニア種」へ

 1984年から取り扱っていた「さくら卵」は、ゴトー360という鶏種の卵でした。

「飼育が難しくていろいろと問題が出て来たので、99年にソニア種に変更しようと、いろいろと研究を重ねて、うちでも5年前からすべてソニア種に切り替えました」

と稲富さんが話すように、より安全で、安心して食べられる美味しい卵の生産を目指して、努力・研究が続けているうちに、もっと生産性が良く、丈夫なソニア種への鶏種が変更されることになったのです。

「ソニア種は丈夫で、品質が安定しやすい鶏種、それに加えて、あまりエサを多く食べないので、飼料がどんどん上がっている今の時代にはぴったりの鶏」

と話します。しかし、鶏種を変更することになり、さくら卵が登録商標をとっていたので使用することが出来ず卵の名前も変更しなければなくなりました。そこで、新しい卵の名前をメンバーさんから募集。「蔵王育ち生協のたまご」と名付けられ、2001年から店頭に並ぶようになったのです。

 卵は昔からあまり値段の変わらない食品で、「食品の優等生」とも言われています。しかし、現在世界の中ではバイオエネルギーなどにトウモロコシが使われるようになってから、飼料の中心となるトウモロコシがどんどん値上げされ、今年の1月、さらに3月にも値上げが決定しているので、ますます生産農家は厳しい状況になっていると話します。

「値段を上げてしまうのは簡単ですが、そうすると消費者が離れてしまう。低価格でおいしいものを作っていかなきゃいけないとは思いますが、エサ代の問題を解決しないとなかなか次に再生産ができなくなってしまう」

と稲富さん。

 どこよりも安全で、安心して食べることの出来るおいしい「蔵王育ち生協のたまご」。ピンクのたまごのその中には、生産者の皆さんの熱い思いとこだわりがたくさん詰まっています。生産者の皆さんを応援する気持ちを込めて、毎日栄養いっぱいのたまごを食べましょう。

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