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【被災地のいま 第55回 みやぎ生協から被災地・宮城のいまをお伝えします】

更新日:2018.03.05

職場で一緒に子育てができるから、安心して赤ちゃんを産むことができた


震災で、沿岸部は人口減少が加速しました。気仙沼市では震災前年より人口が8572人減少し(※)、少子化が一層深刻さを増しました。
 

「子どもの数が少ないので親同士がつながる機会も少ない。特に震災直後は母親が育児で孤立しがちだった」。そう話すのは、気仙沼市のNPO法人ピースジャムの代表、佐藤賢さんです。佐藤さんたちは震災発生翌日から乳幼児を持つ母親へ、ミルク・オムツなどを届ける活動を始めました。日々生きることで精一杯だった母親たちに変化が見えてきたのは、5月頃です。「“夫が震災で離職した。自分が働きたいが働ける所がない”“子どもを預けないと働きに出られない”“将来、この子をどうやって育てていったらいいのだろう”といったように、子育てと就業に関する悩みが多くなりました」。母親たちの不安は地域の育児コミュニティが十分に整っていないことの証でした。
 

佐藤さんたちは「お母さんたちが一緒に子育てしながら働くことができるような場所をつくろう」と考え、公民館の一室をキッズルームにして、地場の野菜・果物を原料にしたジャム製造・販売事業に乗り出しました。翌年にはロンドンからの支援で知った子育て万能布ベビーモスリンの縫製も開始。さらに2014年にはジャム製造室と縫製室、キッズルームを備えた新工房を建設し、子連れで働ける環境を充実させました。働き方はゆるやかで勤務シフトは子育ての状況に合わせて自分で決めます。
 

ピースジャムでは7年間で15人の赤ちゃん誕生を祝いました。母親たちは、安心して産むことができた理由を、“ピースジャムには先輩ママもいれば初産のママもいて互いに頼りあえる。子どもの成長を職場のみんなで見守っていけるから”と話すそうです。
 

「ピースジャムで働きたいと待機しているお母さんたちは20名ぐらいいるのですが、売上の規模が小さいので今は雇用を増やすことができません」と佐藤さんは言います。
 

復興支援を目的にした被災地の商品購入は年々少なくなっています。事業運営に厳しい状況が続くなか、佐藤さんは「ジャムもベビーモスリンもきちんと流通に乗せ、売上を増やしてお母さんたちの雇用拡大につなげたい」と意欲を見せます。


※2015年国勢調査
 

▲代表の佐藤賢(けん)さんとスタッフの佐藤千由季(ちゆき)さん。

▲代表の佐藤賢(けん)さんとスタッフの佐藤千由季(ちゆき)さん。

▲縫製室(手前)と調理室(奥の窓の向こう)のあいだにキッズルームを設け、仕事をしながら子どもたちの様子を見守ることができるようにしてあります。

▲縫製室(手前)と調理室(奥の窓の向こう)のあいだにキッズルームを設け、仕事をしながら子どもたちの様子を見守ることができるようにしてあります。

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